※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。制度は改正されることがあるため(2026年7月時点)、実際の適用にあたっては専門家にご確認ください。
この記事でわかること
外国企業が日本法人(子会社)を設立したあと、税務面で「何を・いつまでに・どこへ」やるべきかを、時系列のロードマップとしてまとめました。日本に経理担当者がいない会社でも全体像がつかめるよう、専門用語は最小限にしています。
STEP 1|設立直後に出す税務届出
法人を設立したら、まず次の届出が必要です。
- 法人設立届出書 — 税務署へ(設立から2ヶ月以内)。都道府県・市区町村にも同様の届出が必要です(期限は自治体により異なります)
- 青色申告の承認申請書 — 欠損金の繰越控除など多くのメリットがある制度です。設立から3ヶ月以内、または最初の事業年度終了日の前日の、いずれか早い日までに提出します
- 給与支払事務所等の開設届出書 — 役員・従業員に給与を支払う場合(開設から1ヶ月以内)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 — 給与の支給人員が常時10人未満なら、源泉所得税の納付を年2回にまとめられます
この段階の届出漏れは後から気づきにくく、特に青色申告の申請期限を逃すと初年度の赤字を繰り越せないなど影響が大きいため、設立登記が完了したらすぐに着手することをおすすめします。
STEP 2|消費税の立ち位置を確認する
日本の消費税(標準税率10%・軽減税率8%)は、会社の状況によって「納税義務があるかどうか」が変わります。
- 資本金1,000万円以上で設立した法人は、設立初年度から課税事業者になります
- 資本金1,000万円未満でも、大規模なグループの子会社などは設立当初から課税事業者になる場合があります(特定新規設立法人)
- 取引先との関係で、適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を検討する必要があります
外資系の子会社は資本金や親会社の規模の関係で「初年度から課税」のケースが多く、設立時の資本金設定の段階から消費税を意識しておくと有利な選択がしやすくなります。
STEP 3|年間の税務カレンダーを押さえる
- 決算後2ヶ月以内 — 法人税・地方税・消費税の申告と納付(申告期限は届出により延長できる場合がありますが、納付の利子負担等の考慮が必要です)
- 事業年度の中間 — 前期の税額によっては中間申告・納付が必要になります
- 12月 — 年末調整(従業員の所得税の精算)
- 翌年1月末 — 法定調書合計表・給与支払報告書・償却資産申告書の提出
海外本社の決算スケジュール(12月決算が多い)と日本の税務期限が重なる時期があるため、年間カレンダーを最初に作っておくと本社への説明もスムーズです。
STEP 4|本社との取引で注意すべき源泉徴収
日本子会社から海外本社への支払いには、源泉徴収が必要になるものがあります。
- ロイヤルティ(商標・ソフトウェア等の使用料)、利子、配当などの支払い
- 租税条約により税率が軽減・免除される場合がありますが、事前の届出書提出が条件になるのが一般的です
「本社への送金」に源泉徴収が漏れていた、というのは外資系子会社で最も多いミスのひとつです。本社との契約(ロイヤルティ契約・ローン契約等)が発生したタイミングで、必ず源泉の要否を確認してください。
STEP 5|経理体制は「担当者がいなくても回る」形でつくる
日本進出の初期は、専任の経理担当者を置かない会社がほとんどです。クラウド会計(freee等)を使えば、記帳を外部に任せながら、本社からリアルタイムで数字を確認できる体制がつくれます。当事務所では、記帳代行から月次の英文レポーティング、年次申告までを一体でお引き受けしています。
よくある落とし穴
- 青色申告の申請期限切れ(初年度赤字の繰越ができなくなる)
- 自治体(都道府県・市区町村)への設立届の出し忘れ
- 本社へのロイヤルティ・利子送金の源泉徴収漏れ
- インボイス登録の検討漏れによる取引先とのトラブル
- 年末調整・法定調書など「1月の事務」の準備不足
まとめ
設立直後の届出→消費税の確認→年間カレンダー→源泉徴収→経理体制、の順で押さえれば、日本の税務は怖くありません。KJTax Japanは、この一連の流れを英語対応込みでまるごとサポートします。
